
学祖・北里柴三郎は、知識と技術を社会に生かす「実学」を大切にしてきました。
北里大学の研究と社会とのつながりを紹介する「Social Good Research」。
今回は、東日本大震災の経験を経て、災害からの地域復興に取り組む朝日田卓・海洋生命科学部教授の研究を紹介します。
岩手県出身の朝日田教授は、海や魚が好きだったことから水産学を志した。そして大船渡市に水産学部のキャンパスがあったこともあり、北里大学に進んだ。大学時代からダイビングにハマり、大学院ではサメの遺伝学的な研究に取り組んだ。水産庁の研究所でヒラメの遺伝的特性の研究などを手がけた後、北里大学に戻り、大船渡市の三陸キャンパスで研究活動を続けてきた。
そして2011年3月11日を迎える。三陸キャンパスにいた朝日田教授は、「陸前高田市立博物館に勤める教え子 と打ち合わせをする予定だったが、その教え子が博物館で急な仕事が入り来られなくなってしまった。『じゃあ午後3時半ぐらいに、そっちに行くよ』と伝え、そろそろ出かけようかというところで地震が来た」と振り返る。
約束をしていた教え子は津波の被害に遭ってしまい、自身も避難生活に入った。朝日田教授は「震災は自分にも大きな転機になった」と述懐する。海の生態系にも大きなインパクトを与えていると考えた朝日田教授は影響を調べようとしたが、捜索活動などもあり、海に入れる状況ではなかった。ボランティアで山のように積み上がった海のがれきの撤去作業をしながら、調査ができる日を待った。(つづく)

朝日田 卓(あさひだ たかし)
北里大学副学長・海洋生命科学部教授・北里柴三郎記念博物館長
専門は魚類学、水圏生態学。東日本大震災後の海の回復過程やダムが生態系に与える影響などの研究をしている。アラスカやグリーンランド、パラオなどでの研究歴もある。著書はNEO魚(共著、小学館)など。得意技は潜水、珍魚の味見。社会とつながる
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