
北里大学の学部生や大学院生、若手の教員らが自身の研究成果を発表する「第38回北里大学バイオサイエンスフォーラム」が8月21~22日の2日間、北里大学十和田キャンパス(青森県十和田市)で開かれました。約200人の参加者たちが互いの研究について発表し合い、学部や学科の枠を超えて意見交換をする場面があちこちで見られました。フォーラムの様子をレポートします。
■熱気に包まれる会場

初日は午前9時にスタート。会場内に集まった学部生や大学院生らが、この日のために用意した自身の研究成果をまとめたスライドを見せながら発表していました。がんに関する実験データが示されたり、海洋生物の調査研究が報告されたり。多彩な発表内容を聞く参加者たちの表情は真剣そのもので、熱心にメモをとる参加者の姿もありました。

発表者の内容は採点されます。高得点者は「若手奨励賞」に選ばれるとあり、力のこもった発表が続きました。
参加した感染制御科学府微生物機能学研究室の香取知里さんは「全然違う分野の内容が聞けて良かったです。思いつかないような考え方や、研究に対する切り口を学ぶことができました。いろいろな人と交われるのもいいですね」と笑顔でした。
■研究者同士が交流を深める機会

今年で38回目を迎えたバイオサイエンスフォーラムは「共同研究の芽を育む」ことを目的にしています。主催責任者である獣医学部の柏本孝茂教授は「北里大学内の研究者同士で共同研究をするきっかけを得る場にしてもらいたい」という期待を込めて準備を進めてきました。
北里大学は十和田キャンパス、白金キャンパス(東京都港区)、相模原キャンパス(神奈川県相模原市)、新潟キャンパス(新潟県南魚沼市)、北本キャンパス(埼玉県北本市)――など、全国各地にキャンパスがあります。

雄大な自然の中にある十和田キャンパスには獣医学部があり、キャンパス内で馬や牛などを飼育しています。
学部の特色に応じたキャンパスで学んだり研究をする半面、それぞれ距離があるため、誰がどのような研究をしているのかが見えにくいという課題もあります。さまざまな学部の研究者たちが一堂に集うフォーラムの場は、研究者同士が交流を深める絶好の機会となっています。実際、フォーラムで出会った研究者同士が相互理解を深め、共同研究を始めた実績も多数生まれています。こうした共同研究が、いつかノーベル賞につながる成果をもたらすかもしれません。
■交流で「視野が広がった」

午後は、新設学部から招かれた3人の教員が講演をしました。登壇したのは、獣医学部グリーン環境創成科学科の得津隆太郎教授、未来工学部データサイエンス学科のWu Lik Hang(ウ・ニクハン)助教、健康科学部看護学科の鈴木紀子教授です。新設学部・学科の研究内容を広く知ってもらう機会となりました。

講演で学びを得た後、参加者たちはポスター展示の会場に移動。自らが制作したポスターの前に立った学生や大学院生らは、足を止めた人に研究成果を説明したり、質問に答えたり。あちらこちらから、研究者同士の会話や笑い声が聞こえてきました。

免疫抑制剤が肝臓自然リンパ球に及ぼす作用についての研究成果をポスター展示した医療衛生学部の中田真央さんは、「(ポスター展示を見に来た人から)自分では疑いもしなかった事に対して質問を受けたり、追及されたりして、新たに気がつけたことがありました。視野が広がりました」と声を弾ませました。

〝永遠の化学物質〟のパーフルオロアルキル化合物の毒性の影響についてポスター展示をした獣医学部の吉村和加菜さんのところには、多くの人が足を止めていました。吉村さんは「準備は大変でしたが、異なる研究をされている方と意見交換できる機会は少ないので大変有意義です。『この解析をどういう手法でやったの?』と質問をいただいたり、反対に相手の得意な分野についての質問をできて良い時間になっています」と話しました。

午後6時半からは参加者たちが集まり、意見交換会を行いました。砂塚敏明学長が「学部の枠を超えて連携できるこの貴重な機会に、是非いつものメンバーで固まらず、新しい仲間と出会い、交流を広げていただければ嬉しく思います。」とあいさつすると、温かい拍手が送られました。さっきまで緊張した面持ちだった参加者たちは、終始リラックスした表情で交流を深め合っていました。

今回のフォーラムでは、若手教員が座長を務め、大学院生が企画運営や準備を担いました。これには若いうちに学会運営のノウハウを学んでもらう狙いがあるといいます。
柏本教授は「次世代の『北里人』を育てるのもバイオサイエンスフォーラムの大きな目的です。将来の学会運営に今回の経験を生かしてもらえれば」と話しました。
次回はバイオサイエンスフォーラム2日目の様子をレポートします。
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