
北里大学メディカルセンターでは動物介在療法(AAT)を導入しています。動物介在療法(AAT)とは、動物の存在や動物との関わりから生じる人への有益な作用を、医療者が人の治療に活用するものです。医療者による目的設定、計画作成のもとに実施され、電子カルテなど公式な記録を伴います。
「医学の知識」×「獣医学の知識」×「日本盲導犬協会の犬の行動管理」のノウハウが集結する北里大学メディカルセンターで、前例がほとんどない国内急性期病院での試みを行っています。 動物介在療法チームの一員として活動している犬は、「北里メディカルドッグ」(独自呼称)と呼ばれています。 動物介在療法の詳細はこちら
2025年4月23日(水)北里大学メディカルセンターにおいて、「北里メディカルドッグ交代式」が行われました。日本盲導犬協会PR犬の「ヨー」君(ゴールデンレトリバー)は2019年秋ごろから徐々に訓練を始め、1代目「ハイク」、2代目「モカ」の後を継いで、2021年4月に3代目北里メディカルドッグとして活動していましたが、この度、4代目の「ジャム」君(ラブラドールレトリバー)へ交代となりました。

任命書を受け取った4代目北里メディカルドッグ「ジャム」君。これからよろしくね!

感謝状を受け取った3代目北里メディカルドッグ「ヨー」君。6年間みんなを笑顔にしてくれてありがとう。本当にお疲れさまでした。
北里メディカルドッグ交代式には日本盲導犬協会専務理事の山口さん、同協会の近藤さん、奥澤さんをはじめ、阿古病院長、北里大学メディカルセンター動物介在医療運営委員会メンバー、「ヨー」君の飼育ボランティア岡田様ご夫妻、多くの北里大学メディカルセンター教職員が参加しました。ヨー君、ジャム君に加え、先輩犬のキース君も勢ぞろいし、和気あいあいとした雰囲気の会となりました。ヨー君とジャム君は会場に集まった参加者全員の所へ自ら出向き、体を寄せて挨拶をして歩く姿がとても印象的でした。

会場に来てくれたみんな一人一人に挨拶をしたワン。やっぱり挨拶は良いチームワークの基本だからね。

動物介在医療運営委員会委員長の山本医師からは「日本盲導犬協会にはメディカルドッグの選定をはじめ、犬の教育、北里メディカルセンターの職員であるハンドラーに対する教育にも全面的にご協力いただき、事故も無くAATの活動ができています。飼育ボランティアの岡田ご夫妻には、途中コロナ禍の大変な時期もありましたが、ヨー君を常に健康でハッピーな状態にして、病院まで通勤させていただいたことに感謝します。」と挨拶がありました。

チームのみんなと一緒に集合写真を撮ったワン。左から先輩犬「キース」、3代目「ヨー」、4代目「ジャム」です。

動物介在療法(AAT)コンサルタントの饗庭さんは「ヨー君は遊ぶのが大好きな陽気な子で、患者さんもその姿を見て喜ぶという循環が生まれていました。ヨー君は周りがハッピーになる起爆剤のような存在でした。まずは犬達が喜んで北里大学メディカルセンターに来られる環境を整えること、楽しい場所だと思ってもらえるようにすることがAATの根幹だと学ばせてもらいました。一方、ジャム君はとてものんびりで落ち着いている子です。その子らしさを尊重して活かしていくのが何よりも大切で、ヨー君が活躍した姿を目指すのではなく、人に寄り添うことが得意なジャム君らしさを出していくことがAATの成功につながっていくので、これからも活動を見守ってほしいと思います。」と語りました。

日本盲導犬協会の奥澤さんからは「数々の先輩犬の歴史をこれから繋いでいくジャム君ですが、初めて山本先生や饗庭さんとお会いしたのは1歳4か月の時でした。その時も今日のような落ち着きぶりで、本当に1歳ですか?と聞かれたほどです。盲導犬としての適性を考えると、ジャム君の落ち着きは強みになる一方で、視覚障がいのある方と一緒に歩く際には歩く速度が少しゆっくりであるため、人の前を歩くには向かないということが盲導犬の進路を選ばなかった大きな理由でした。ジャム君は盲導犬には向かないだけで、人に寄り添うことが好きで得意で、他にも沢山の強みがあります。このようなご縁から盲導犬とは別の分野で活躍できる場を与えていただき嬉しく、光栄に思います。犬一頭一頭の個性や強みを尊重しながら向き合っていただける北里メディカルドッグの取組みには安心感と期待を持っています。」とお話がありました。

阿古病院長は「ヨー君の任務も一段落し、次の世代へ引き継ぐという段階に入りました。動物介在医療法(AAT)は北里大学メディカルセンターの大きな長所であり、全国的にも注目されている取組みです。医療を行う上では医学に基づいた治療を行うことはもちろんですが、Cure(治療する)だけでは医療は成り立たず、Care(気づかう・親身になる・思いやる)という部分が重要だと思っています。患者さんに寄り添うことができる動物介在医療法(AAT)の取組みを今後とも発展させていきたいと思います。」と述べました。

トレーニングにも慣れてきて、ユニフォーム姿も様になってきたと思うワン。オレンジのユニフォーム格好いいでしょ。
交代式後にはさらに多くの教職員も集まり、ふれあいタイムでは撮影会が始まりました。3匹はそれぞれのコミュニケーションの取り方で、おもちゃで遊ぶ子や、ゆったりくつろぎながら全体を見守る子など、個性が現れる過ごし方をしていました。
交代式を終えて院内を堂々と歩く3匹の姿は、北里大学メディカルセンターの日常風景によく馴染んでいて、教職員の一員として自信たっぷりの様子でした。
動物介在療法は多くの職種が協力することで成り立っており、生命科学の総合大学である北里大学らしいチーム医療のひとつの形といえます。また、ヨー君とジャム君の働く姿からは、犬も人もそれぞれの強みや良さや「らしさ」は異なっていて、それらを互いに理解し、個性を最大限に活かしていくことがチームワーク溢れる環境・組織につながるということを教えてくれました。

ふれあいタイムではこれからもみんなで力を合わせて頑張るんだぞって引継ぎをしたワン。

AATユニフォーム。左腕にはメディカルドッグのマークがついているワン。
交代式の様子はこちらだワン。
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